日本支部の一室では、クロエの補佐官であるポープに対して、鬼原が技術長官がやったことに自分たちは関与していないといい訳をしていた。
しかし、子供がするような言い逃れをUW世界本部の使者が信じるはずがなく、全て鬼原が指示していたのでは?と詰め寄られた。
すぐに答えられない鬼原に対し、ポープは質問を変えた。
「水原怜人以外にもMKウイルスに抵抗力を持っている男性がいますね?」
最早ここまでと思った鬼原は悪役然として開き直り「こうなったら仕方ない」と呟いてから他の長官に目配せした。
その長官が合図をすると、SPたちがポープを取り囲んだ。
しかしポープは動揺することなく不敵な笑みを漏らし
「こう言うのを・・・馬脚を現すというのでしょうね」と言った。
最初から日本支部の長官たちに勝ち目はなかった。
SPたちが銃を向けたのはポープではなく長官たちで、彼女たちは驚きを隠せない。
飼い犬に噛まれたかのように鬼原はSPを脅そうとするが、仕えているのは長官たちにではなくUWだと言い返され、ぐうの音も出なかった。
その時、首藤総務長官が立ち上がり「そういうこと~」と緊張感もなにもなく言い放った。
長官の一人でありながら、首藤は獅子身中の虫となり密告を続けていた。
ここで首藤に怒りを向けようが事態は何も変わらず、3人の長官たちはあっさり拘束されてしまう。
そしてポープは満足気に皮肉な笑みを漏らしながら、彼女たちの罪状を諳んじて見せた。
「MKウイルスの製造と拡散による人道に対する罪、UW世界本部からの命令無視、報告義務違反、日本市民に対する不当搾取、数え上げたらキリがなさそうですね」
ヘリの中では話が続いていた。
あの施設がMKウイルスの製造施設だった可能性が高いとクロエが話すと、マリアは爆破は証拠隠滅のためですか?と訊く。
おそらくそうだろうとクロエは答えながら、悪魔の所業とも言えるその行為に震え、自分の身体を抱きかかえた。
怜人は施設が爆破されたことで、手に入れられるかも知れなかったMKウイルスの製造方法が手に入れられなくなり、結局特効薬作りが進展しそうにないことを悔やんだ。
クロエは他にも、長官たちによる陰謀のせいで、世界への悪影響が出ているという。
今、世界各地でテロが頻発していた。
男がいなくなり生産力が激減し、経済格差による不満は増加の一途を辿り、今にも爆発しそうなタイミングで日本が男性の生存者を独占している事実を発表する。
「日本支部のミス鬼原が水原さんの存在を明らかにしたことで、各地でのテロが加速しています」
その言葉を一番聞きたくなかったのが、稀代の犯罪者として捕らえられた鬼原の娘の朱音だった。
そしてクロエは続ける。
「エリサ・タチバナのことを知っていますね?」と。
突然その名前を出された彼は言葉に窮したが、何か答えるのを待ってもらえず、彼女が今、テロリストの組織に身を置いている事を打ち明けられる。
衝撃の事実に彼が頭の中を整理できないうちに、違う場所で大爆発が起き、黒煙が舞い上がった。
マリアはすぐにそこが、妹がいる学校だと分かった。
クロエはすぐに報告を受け、内容を彼らにも伝えた。
「日本支部がナンバーズと呼んでいる、水原さんと同じMKウイルスへの抵抗力を持っている男性・・・その一人がテロリストに拉致されました」と。
終末のハーレムの考察と感想
今回は日本支部があっという間に瓦解していく様子が一気に描かれた。
とは言え、まだこの病院がウイルス製造施設なのかどうかは判明していない。だが、長官たちが大人しく拘束されたことからも間違いはなさそうだ。
それよりも、拉致された土井が何をされるのかが気になる。