終末のハーレム2巻13話
【第3の男】

細胞硬化症と診断された土井。

 

生きるためにコールドスリープすることになり、休学扱いで眠りにつかなければならなくなった。

 

 

最後の登校日のホームルーム。

 

柚希先生が説明し、彼は黒板の前に立って最後の挨拶をしようとするが、誰も私語を止めず聞こうとするクラスメイトは一人もいなかった。
終末のハーレム

 

 

「もしもーし。はーい汐音です。はい。はい、すぐ出まーす」

土井がボロボロになっているのを見て偽りの同情の言葉を吐いた汐音は、仕事先からの電話を優先して先生が止めるのも聞かずに、さっさと帰ってしまった。
終末のハーレム

 

それを呼び水にして、他の生徒も次々と席を立ち、適当な理由をつけて帰り始めた。

 

「塾がー部活がー帰りにカフェ行こうよー」

 

土井の生きるか死ぬかよりも、目先の予定の方が大事なのだった。

 

教室を出る際に声をかけるものもいたが、本当に彼が死のうがどうでもいいんだとはっきり分かる、あからさまな態度だった。
終末のハーレム

 

 

「先生、ありがとうございました・・・」

先生にだけそう告げて、最後の最後まで気にも留められず、つまらない学校生活は終わってしまった。

 

 

項垂れて人気のない校内を通って帰ろうとすると、茂みの向こうから声が聴こえてきた。

 

「あっ、あんっ、あっ・・・ううっあっ・・・」

 

気になって覗いてみると、いじめっ子グループの高松とエリカが学校の敷地内にも関わらず、野外でエッチしている最中だった。
終末のハーレム

 

高松は後ろから執拗に突きまくり、エリカは土井には絶対見せるはずもない、よがった顔で頬を染め、身をくねらせながら涎さえ垂らしている。

 

「やば、やばぁっ・・・あーくるくる、来ちゃいそう」

と、絶頂に達しようとしていた。
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しっかり楽しんで満足気なエリカ。

 

高松がパンツの中にしまおうとした時、土井が見ているのに気付き、エリカもさすがに恥ずかしいようでびっくりする。
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言い訳など聞いてもらえずに、今度は腹を思いっきり蹴られてしまった。

 

「う・・・うう・・・」

蹲る土井に、相手が病気だろうとエリカも容赦なく腹に蹴りを入れた。

 

「みてんじゃねーよ!クソドジイ!」

「がはっ!」

 

苦しそうに横たわる彼に、高松は顔を近づけて憎たらしい笑みを零して話しかける。
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「なんかヤバイ病気で入院するんだって?童貞のまま死んでくなんてご愁傷様」

そう言って、唾を吐く。

 

エリカは最後まで蔑みの表情のまま、自分がしてきたことを棚に上げて文句を吐き捨てた。

 

「こいつらみたいな奴らこそ死ねばいいのに」

土井は二人の背中を見ながら、そう強く願った。