土井は誰も待っていない家に帰ると、制服のままベッドに倒れこんだ。

 

5年経てば、もうあいつらとは顔を合わせずに済むって考えれば、そう悪くないかもな。

そうやって自分を納得させようとしたが、そこまで簡単に割り切れなかった。

 

「うう・・・何で・・・何で僕が・・・!」

一人になってようやく救いのない現実への本音が出せた。
終末のハーレム

 

 

その時、妹のマユから連絡がきた。

 

涙を拭いて準備をしてから応答すると、マユは真っ先に寝てたかどうか訊ねてきた。
終末のハーレム

 

「ん・・・ちょっとな」

と、妹に心配させないように嘘を吐く土井。

 

「お父さんは?」

「仕事。決まってんだろ」

「こんなときくらい、お兄ちゃんの傍にいればいいのに」

マユはそう言ってくれるが、父が自分のことを大して心配していないことを土井は十分分かっていた。

 

「仕方ないよ。母さんは?」

「お母さんも離婚してから働き始めたの。でも、お兄ちゃんのこと心配してたよ」

 

マユはまた慰めてくれるが、それもまたなんの励ましにもならなかった。
終末のハーレム

 

 

するとマユは

「お兄ちゃんごめんね。お見舞い行けなくて」

と、謝った。
終末のハーレム

 

土井は別に気にしていなかった。

マユも特効薬のない病気と戦っているのだから。

 

 

コールドスリープって何年するの?と聞くマユに、多分4,5年かなと返すと、マユは長さにびっくりしていた。

 

目が覚めたら、マユは俺より年寄りだな。
終末のハーレム

 

妹と話している内に、そんな軽口が出るくらいには心が軽くなっていた。

 

 

土井は特製のカプセルの中に入った。

 

担当の看護師に「土井さん、もういいでしょうか?」と訊かれると、すぐに「はい・・・誰も来ませんので」と言わなければならないことが、やはり寂しかった。
終末のハーレム

 

痣だらけの身体を横たえ、目を閉じると、カプセルの中に液体が充填され始めた。

 

「目が覚めたら、少しはマシな世界になってますように」

そんな些細な期待をして、彼は長い眠りについた。
終末のハーレム

 

 

あっという間だった5年間。

 

最初に視界に入ったのは、見たことのない美少女で、いきなりクラッカーを打ち鳴らしてきた。

 

「おめでとーございまーす!」
終末のハーレム

 

寝起きドッキリのような目覚めに、土井は訳が分からず戸惑うばかり。

 

「なん・・・えっ?・・・えっ・・・だれ?」

と、どもりながら訊く彼に、彼女はハイテンションで答えた。

 

「初めまして!あなたの美少女担当官カレンちゃんでーす!

たのしーたのしー高校生活、やり直してみませんか?」
終末のハーレム

 

ピースサインをきめて、満面の笑顔のカレン。

 

ここから、土井翔太のハーレム学園生活が始まるのだった。

 

 

考察・感想

汐音はどうやら芸能活動をしているようなので、もしかしたら翔太編再開とともにアイドルか何かで再登場する可能性がありそうだ。

しかし、性格の悪い奴らばかりで見られてもおかしくない校内で青姦したりと、とても未来の日本を動かすエリート候補とは思えないほど、歪んだ人間ばかりだ。

まあ、国を運営するのにはヘドロみたいな人間性の方が向いているのかも知れない。

土井の担当看護師の制服が、既に男の目線を意識したデザインになっているのは、単なるハーレム仕様なのかMKウイルスのフラグなのか。

 

 

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