終末のハーレムネタバレ36話
突然クロエが現れ、さらにUW世界本部の使者だと言われた怜人は驚きを隠せなかった。
「クロエさんが、UW世界本部の使者?」
「イエス。オンセンでの節は誠にお世話になりました」
それで彼は熱いキスを思い出して顔を赤くしたが、現場を見ていないマリアはキョトンとした顔をした。
クロエは自分がただの使者ではなく、UW平和維持活動の局長をしていることも打ち明けた。
クロエはその立場から日本に留学生として潜入し、日本支部や怜人のことを調べ続けていた。
その時朱音は、思い出したように撃たれた技術長官のことを思い出し、駆け寄って手首の脈を確認したが、既に鼓動は止まっており首を横に振って見せた。
酷い目に合わされ、今も殺されかけたにも関わらず、怜人は目の前で人が撃ち殺されたことにショックを受けないではいられなかった。
悲しげな顔をする彼を慰めるためか、殺さなければ殺されていたから仕方ないとクロエは言った。
その直後、爆発音が施設内を震わせた。
「な、なんだ!?」
クロエはすぐに部下から報告を受け
「この工場には爆弾が仕込まれてらっしゃいます」と彼らに教えた。
「今からの解除は難しい。脱出されましょう!」
「爆弾なんて、誰が・・・」
「怜人さま!ひとまずここから出ないと」
翠に急かされた彼は脱出を優先させた。
ただマリアは、ここで消息を絶った友人のことが気がかりで仕方なかった。
しかし彼らは逃げる姿を誰かに見られている事に気づかなかった。
建物が崩壊するまえに無事に外に出た彼らは、クロエの部隊が用意していたヘリに乗り込んだ。
飛び立った直後、さらに大きな爆発音とともに窓やドアを突き破った黒煙が舞い上がり始めた。
衝撃の光景に見とれる彼に、クロエは冷静に話しかけ始めた。
「水原さん、私はあなたが世界に現れなさってからずっと疑問に思っていました。現在活動可能な男性は本当に水原さん一人なのか?」
質問のような問いかけにも聞こえるが、クロエの口ぶりと表情からして既に答えを知っているのは間違いなさそうだった。
クロエはさらに続ける。
「日本支部の長官たちは、なぜ独断であなたの存在を世界にアピールしたのか?この施設が何だったのか?どうしてここを爆破したのか?答えは一つ・・・賢いあなたならもうおわかりでしょう?」
そう言った時のクロエは、今までに見せた事のない真剣で挑むような目をしていた。