終末のハーレム3巻21話
【二人の担当官】

「紹介するわ。貴方の新しい担当官よ」

 

長官に呼ばれて入ってきたのは二人だった。

しかも、両方とも今日ここに来るまでに言葉を交わしていた相手だった。
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黒田マリアは怜人にぶつかってきた白衣にパンツ一枚の方で、片桐麗亜は初対面でいきなり醜悪呼ばわりしてきた目つきの鋭い方だった。
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担当官が変わることだけでも驚いているのに、二人を紹介されて余計に驚かされてしまう。

 

しかし、散々好き勝手やって世間にも存在が知られたため、特別措置として二人体制で怜人を担当することになったようだ。

 

 

長官は二人の役割を説明していく。

「黒田マリアは研究職の人間で、あの技術長官が信頼を置く人物です。MKウイルスを研究する上で役に立つでしょう」

マリアは怜人と目線を合わせないように下を向いたまま

「よ・・・よろしくお願いします」

と挨拶した。

だが怜人は、技術長官のお墨付きだと聞かされて、警戒心を抱かない訳にはいかなかった。
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「そちらの片桐はあなたの身の回りの世話等を周防から引き継ぎます。今までは撫民官と言って、UWを代表して市民と交流しながら宥める役職に就いていました。外の世界に詳しいので知りたいことがあれば訊くといいでしょう」

自分の説明をされる間も、麗亜は彼に対する嫌悪感を隠そうとはしなかった。
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説明が終わると、美来は「ではこれで失礼します」とだけ言って、早々に出て行ってしまった。

 

怜人は美来をなぜ外すのか訊くが、長官二人はその質問には答えず、気に入っているならメイティング候補者として傍に置くことは許可します、とだけ告げて出て行った。

 

不信感を抱く彼に、麗亜は美来が外された紛れもない事実を突きつけた。

 

「彼女の最重要任務はあなたに多くの女性とメイティングさせること。理由はどうあれ、それに失敗したのだから更迭されるのは当たり前・・・あなたのせいよ」
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何も言い返せない彼に、麗亜はさらに続ける。

「MKウイルスの研究は認めますが、メイティングしないのなら研究以外の行動の自由は制限させてもらいます」

 

ただでさえ態度が悪く、一方的な物言いに怜人は憤り、二人の間に険悪な空気が漂った。
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言うだけ言った麗亜も部屋を出て、美来を追いかけて声をかけた。

 

「美来。久しぶりね」

「・・・ええ」

麗亜は親しげに話しかけるが、美来はあまり特別な感情を抱いているように見えなかった。
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麗亜は他愛ない会話を紡ごうとして

「少し痩せたんじゃない?」

と切り出すが、美来はそれには答えず逡巡した後

「水原様のことをよろしくお願いします」

と、頭を下げた。しかし、麗亜は誰に対しても彼のことを悪し様に語る。

 

「あんな男・・・どうせ女を道具としか見ていないような下らない男よ」

そう罵ると、美来は間髪入れず

「水原様はそのような方ではありません」

と言い返して睨みつけた。
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去ろうとする美来を呼びとめようとするが、

「あなたは変わらず綺麗ですね。まるで時間が止まっているみたい」

と言われて、麗亜はそれ以上何も言えなくなってしまった。
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怜人が中庭を散歩していると、火野が何か見ながらニヤけているのを見つけた。

火野も怜人に気付き、

「水原君!」と声をかけてきた。

 

「こんにちは・・・これは?」と訊くと、

「いやー俺ももうすぐパパだよ」と、嬉しそうに話してくれた。

 

彼が見ていたのは、彼の子供を宿している女性の子宮内の映像だった。
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怜人は、男の子が生まれれば人類全体にとっていいニュースになりますねと言うが、まだどっちが生まれるか分からないと返され、勝手に決めつけた事を謝った。

 

しかし彼は気にすることなく、怜人の行動も認めていた。

 

「子供か・・・俺には想像もつかないや」

と、正直な感想を怜人が漏らすと

「つっても、さすがに溜まってきてるだろ?」

と言いながら股間を掴んで、笑いながら去っていった。
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怜人はマリアに連れられて、電車に乗ってどこかに向かっていた。

 

「あの黒田さん」

「はははははいっ」

「今向かってる場所に何があるんですか?」

「慶門市ってとこで・・・温泉があるよ」

と言われ、怜人は今朝の夢に出てきた二人と一緒に入っているところを妄想してしまう。
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そんないやらしい妄想をしていたことを悟られないように、「それだけ?」と訊くと、

「MKウイルスに関して重要な人物がいるよ」とも言われた。

 

怜人が驚いて急に立ち上がったせいで、マリアは持っていたお茶を零してびしょ濡れになってしまった。
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