終末のハーレム3巻15話
【初体験】
ゆず先生と再会できた土井翔太。
しかも、話があるから夜に部屋に来て欲しいと言われて、一体何だろうと考えているうちに、もしかしたらと、邪な妄想を膨らませていく。
今は体育の授業中だった。
世界が大変なことになっていても、ここだけが今までと変わらない時間が流れている。
生徒たちは皆ブルマを履き、走り幅跳びの距離を計測していた。
言わば病み上がりで運動が苦手な土井は、制服のままクラスメイトたちが運動している風景を見るともなく見ていた。
そこにカレンがやってきた。
「見学は退屈ですか~?」
担当官でもあるが、クラスメイトでもある彼女のブルマ姿を間近に見て、土井は慌てて視線を外して答えた。
「体育は元々好きじゃなかったので・・・休んでる方が楽です」
目覚めてからずっと敬語で話されているのに距離を感じていたカレンがそう伝えると、土井は直そうとするが、既に染み付いた無意識の習慣はなかなか変えられそうになかった。
カレンはその話題を後回しにして、「タイプの子はいましたか?」と訊いた。
顔を赤くする土井に構わず、目ぼしい女の子を紹介し始めた。
「柊春歌ちゃん。翔太様の前の席に座ってる子ですね。
スリーサイズは78-54-76のBカップ。
胸は小さめだけど形はきれいです」
と、彼が妄想しやすいようにデータまで詳らかにするカレン。
「一条奈都ちゃん。すごいお金持ちのお嬢様です。
スリーサイズは87-60-86のEカップで、意外とおっぱい大きいですよ」
土井は赤くなって、なんでそんなことまで知っているのか訊いてくるのを無視して、次の女の子の紹介に移っていく。
「次に跳ぶ子は東堂晶ちゃん。バレー部のエースで、スリーサイズは92-58-90のGカップです」
東堂が6m40の好記録を出して女の子たちが騒いでる中、その次に跳んだのは小さな女の子で、着地に失敗した悔しさと痛みを涙ながらに叫んでいた。
「あの子は黒田・レイン・ちふゆちゃん。
運動神経はいまいちですが、飛び級でこのクラスに入った天才少女でハーフなんです」
と、カレンは説明してくれた。
個性的な女の子ばかりだが、とにかく自分をいじめてきたあのエリカのような子がいないことに、土井は安心した。
そんな風に思っていると、自分をいじめた高松たちはどうなったんだろうとふと思った。
「いや、どうせMKウイルスで死んでるだろ・・・」と決めつけて、変な感傷を断ち切った。
カレンは立ち上がり、授業に合流する前にもう一言耳打ちしていった。
「とにかく、カレンは全力で翔太様をサポートしますから、もっとみんなと仲良くなりましょうね」
それがどういう意味なのか色々考えてしまうが、不意打ちで近づいたカレンの顔に一番ドキドキしてしまうのだった。
その日の夜。
約束通り、土井はゆず先生の部屋を訪ねた。
ドアをノックして、「どうぞ」と返ってきただけでドキっとするが、ドアを開けた瞬間に見えたゆず先生の湯上りの肌がほんのり透けていることに、またドキっとする。
「こんな格好でごめんね。さっきまでお風呂入ってたから・・・」
そう言う先生の髪はまだ少し濡れていて、先生なのか部屋に沁み込んでいるのか、クラクラするような甘い匂いが漂っていた。
「疲れてるところ来てくれてありがとう。クラスの方はどうだった?
目覚めていきなりこんなことになってたら、戸惑っちゃうわよね?」
先生は土井が眠っていた5年間のことを話していたが、すぐ傍から香ってくる先生の匂いと透けた肌を一度見てしまうと、もう話は入ってこなかった。