終末のハーレム3巻16話
【学校生活】

教室の中。

 

席に座って外を眺めていた土井は、昨晩のことを鮮明に思い出していた。

 

「初めて女の人と・・・しかもゆず先生となんて夢みたいだ」

 

でも、病気に勝ったご褒美だって言ってたから、一度きりなんだろうな。

 

そんな風に物思いに耽っていると、隣の席の一条奈都にクスリと笑われてしまった。
終末のハーレム

 

「土井さん、今好きな人のこと考えてたんじゃないですか?」

 

慌ててごまかすが、追求する手を止めてくれず、「じゃあ、何考えてたか教えて下さい」と、顔を寄せてきた。
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咄嗟に好きな音楽のことだと話し、今度はそれに食いつかれた。

 

いじめでもからかわれたアイドルグループのことをドキドキしながら紹介すると、全くひく様子もなくもっと顔を近づけてきて、さらにカレンが言っていたように、意外と大きい胸が肩に当たっていた。
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違う意味でドキドキが増していると、前の席の柊春歌が振り返って二人の話題に入ってきた。

 

「土井ちんQ’s好きなのー?」

「うん。えっと・・・」

「柊春歌。春歌でいーよ!誰推し?あたしはユマ・エマ推し!」

「俺は桐原ちなみかな・・・」

「へーちなもいいよね!」
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思いがけず好きなアイドルの話で盛り上がれる相手を見つけて、土井の口はどんどん滑らかになっていった。

 

以前の世界では隠れるように聴くか、いじめられる原因だったのに、本当に誰も自分のことを蔑みの目で見て来ないことに感動する。

 

しかし、全く話題に入れなくなった一条に嫉妬されてしまい、思いっきり太ももをつねられて教室から出て行かれるのだった。
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彼女が頬を膨らませてアピールしている意味にも気付けず、初めてのことばかりの学校生活に戸惑いと喜びを感じる土井だった。

 

 

放課後。

校内を散歩していると、体育館から気合の入った掛け声とボールの弾む音が聴こえてきて、土井は吸い寄せられるように足を向けた。

 

中では女子バレー部が練習をしている最中だった。

 

サーブ、レシーブ、トス、スパイク。

熱の入った練習風景の中で、特に目立っているのが東堂晶だった。

 

率先して声を出し、カレンが言っていた豊満な身体で高くジャンプし、強烈なサーブを打って部員たちを指導するように頑張っていた。

その姿に、土井はただ驚くばかり。
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強烈なサーブを打つだけでなく、レシーブもうまく、ヘッドスライディングしながらボールをがむしゃらに拾っていて、エースなのも頷ける身体能力だった。

 

揺れる胸にほんのり顔を赤くして見惚れていると、いきなり下から声をかけられた。
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「貴様・・・あのデカパイに釘付けだな。ウチの方が凄いぞ」

という声の正体は、走り幅跳びで不満を爆発させていた天才少女の、黒田・レイン・ちふゆだった。

 

しかし、そういう彼女の身体に凹凸はなかった。

なのに、自身満々に体育館の中へ踏み込んでいった。

 

「おい東堂!決着をつけにきたぞ!」

高らかに宣言するちふゆの声に振り返った東堂は、「練習の邪魔だから」と言って追い払おうとしたが、土井が見に来ているのに気付き、咄嗟に言葉を引っ込めた。

 

東堂が土井に釘付けになっているのにも構わず、黒田は捲くし立て続ける。

「今日こそ勝負してもらうぞ!東堂晶!ウチは馬鹿にされたままでいるのが我慢ならんのだ!」

と声を張り上げるが、まだ東堂は土井を見つめていた。

 

いい加減黒田が怒り始めると、東堂は初めて勝負を受けてあげると返事した。
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いきなり始まった勝負が気になった土井も、中に入って決着を見守ることにした。

 

勝負は一球。

東堂のサーブを黒田がレシーブでセッターに返せるかどうか。

あれだけ自身満々なのだから、きっと黒田はレベルの高いリベロなのだろうと土井は予想した。

 

そうこうしていると、東堂が頭上高くボールを上げ、思い切りのいい踏み込みから高くジャンプし、強烈なサーブを打った。

「こんな珠!ぬるいー」

と言った黒田。
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しかし、サーブは彼女の顔面に激突し、跳ね返りが土井の額を直撃して勝負はついた。
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慌てて部員たちが駆け寄るが、急に飛んできた球を避けれなかっただけで、ちょっとおでこが赤くなっている程度だった。

 

しかし、東堂は手をついて謝った。

「ごめんさない!土井さんに怪我させるなんて・・・土井さんに何かあったら私・・・どんなことをしても償うから・・・」

 

思った以上に真剣に謝られてびっくりしてしまうが、それより、先生並みの巨乳で前かがみになられたことに、唾を飲み込む土井だった。
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