終末のハーレムネタバレ35話
【謎の施設】
あの病院がMKウイルスの製造場所かも知れないと考えた怜人は、朱音たちと一緒に再び閉鎖された病院を調べに来ていた。
時間はもう夜で病院内は暗く、怖がりの翠は震えて彼にしっかりしがみついている。
それを朱音がおどろおどろしい声を出して怖がらせ、からかっていた。
彼はここに来ている事が長官たちにバレテいるんじゃないか心配だった。
マリアによれば、彼の移動申請の許可はすぐにおりたから、心配ないだろうという。
その二人の会話を聞いた朱音は
「四の五の言ってる場合じゃないでしょ。人類の存亡の秘密がここにあるかも知れないんだ」
と、緊張と使命感を伝播させようとした。
するとその空気を自ら緩和させるかのように、怜人に美来について訊いた。
「それよりあんたさあ、美来のことどう思ってんの?」
「えっ」
「好意を向けられてるの、気づいてんでしょ?」
「それは・・・素敵な人だと思います」
「前から思ってたんだけどさ・・・アンタってもしかして童貞?」
「はあっ!?」
あけすけにそんなことを訊かれて答えを濁した彼を見て、朱音はすぐに童貞だと確信した。
劣勢の彼を助けようと翠が咎めるが、またあっさり怖がらされて悲鳴をあげ、後ろの壁を思いっきり殴って破壊してしまった。
そんな圧倒的な戦闘力を持っておきながら、また彼にしがみついて震えだした。
しかし、翠が殴り壊した壁の向こうに、通気孔が続いているのに彼らは気づいた。
鬼原長官とその他二人の長官は空港に来ていた。
UW本部から使者が来るので、出迎えに赴いていたのだが、マンスフィールドという名前しか情報がなく、どういった人物がどんな目的でくるのか知らされておらず、戸惑いとないがしろにされている苛立ちを感じていた。
その時、飛行機から黒人の背の高い女性が降りてきた。
鬼原は英語でようこそと話そうとしたが、相手が被せるように日本語を話して感謝の意を表した。
「日本語がお上手ですね、ミス・マンスフィールド」
「いいえ、私はミス・マンスフィールドではありません。私は彼女の補佐官、彼女は今別の場所にいます。この国にとってとても重要な場所・・・どこのことかお分かりでしょう?」
鬼原はいきなり二つの衝撃を感じて、咄嗟に言葉が出てこなかった。