終わった後で一人でシャワーを浴びていると、玲奈も入ってきて、背中に抱きついてそっと囁いた。
「やっぱり今日の子が気になりますか?」
彼は彼女に気を遣ったのか
「そんなことないよ」と答え、しっかり抱きしめ返した。
それから怜人は、マリアと翠と共にあの隠れ家を訪れて作業していた。
かなり古い機種のパソコンを用意していることに彼は驚いていたが、マリアによれば、あえて古い機種でアングラネットを使えば、UWの監視から逃れられるのだという。
彼女がそんなハッカーのような技術を持っているのは、学生時代の友達に教えてもらったからだが、その友達も今はアメリカに行ってしまっていた。
彼はその友達に頼んで、アメリカの研究資料を手に入れられないのか訊くが、アメリカのセキュリティはより強固で難しいと言われてしまう。
その時、ドアをノックする音が響いて、眠りこけていた翠は目を覚まして飛び起きた。
「朱音さんですね。私が出ます!おつかれさまでー」
そう言ってドアを開けた途端、翠が悲鳴をあげた。
ドアの前に立っていたのは頭から脳がはみ出ているゾンビだった。
しかし驚いているのは翠だけで、良く見たら朱音が悪ふざけをしてマスクを被っているだけなのは明らかだった。
翠が腰を抜かしてしまったのを見て、朱音は苦笑いしながらマスクを脱いで謝った。
「朱音さん、何してるんですか?」と彼が訊くと
「一応変装しないとね」と答えるので、翠は
「余計目立ちますよ!」と怒りを露にした。
その直後、マリアが大きな声をあげた。
彼女が指差すパソコンの画面を彼が読みあげると
「川上梨生奈 慶門市中央区第三病院」と書かれていた。
そこはマリアと翠と一緒に調べに行った、あの閉鎖された病院だった。
その女性の名は、さっき話したアメリカに言っているはずの友達だからマリアは驚いたのだった。
マリアは続けて他にも何人かの経歴を調べ始めた。
すると全員が同じ病院で入院している記録があった。その女性たちは全員アメリカに行っているはずの医学や薬学の研究者たちだったが、入院して以降の記録がぱったり途絶えていた。
まさかの展開に、彼はある仮説をたてた。
「この病院は、MKウイルスを製造していた場所かもしれない」と。
終末のハーレムの考察と感想
麗亜が取りあえずは味方の立ち位置を維持しているようだ。となると、朱音に何か裏があると思えて来る。と言っても、彼に害を為そうとしているとは思えないが。
それと火野の思いつめている様子が気になる。
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