国務長官室に通された彼らは、怜人一行と幹部たちで向かい合わせでソファに腰を落ち着けた。

 

まず口火を切ったのは、その部屋の主だった。

「国務長官の鬼原だ。ここにいる4人。それとさっきの技術長官の5人でこの国の運営を行っている」

と背爪すると、怜人は即座に

「支配している・・・の間違いでは?」

と、さっきの暴行未遂のことも含めて怒りをぶつけた。
終末のハーレム

 

 

鬼原は軽く受け流しつつ、技術長官の無礼を詫びると共に、彼女の能力は買っていることを示した。

 

もう一人の幹部も彼女のいき過ぎた行動は諦めるしかないわねと擁護するので、怜人もいい加減飽き飽きしてしまう。

 

それより、用件を早く聞きたかった。

 

「どうして俺をここに呼んだんですか?」

と、率直に訊くと、

「こちらへ来てくれ」

と言うので素直に行って、窓の外の景色を見た。

 

「この世界をどう思う?」の問いに、彼はまた率直な感想を話した。

色んな意味で異常だと。
終末のハーレム

 

 

男がいなくなり、女たちの混乱は収まらず、未だ悲しみに暮れている者も多い。

 

そんな世界の状況を彼に改めて認識させた鬼原は、彼に一つの提案をした。

 

それに美来はすぐに難色を示すが、鬼原は自信ありげに大丈夫だと言い、ボディガードの使命感と責任感を煽って、翠をヤル気にさせていく。
終末のハーレム

 

そして渦の中心にいる怜人も鬼原の提案を受け入れることにした。

ただし彼も考えを巡らせ、交換条件を出すことにした。

 

「いくつか条件を出してもいいでしょうか?」

「水原様!?」

鬼原はニヤリと笑い

「言ってみなさい」

と答えた。
終末のハーレム

 

 

その頃まひるは、また難民ホームに顔を出して、子供たちの勉強を見てあげていた。
終末のハーレム

 

すると突然、テレビの生放送が強制的に流れ出した。

 

まひるを含めた難民たちは驚きつつも、映し出された映像に集中していく。

 

「これから世界同時放送を始めます。

本日は日本国民の皆様に・・・いえ、世界の皆様に重大な報告があります」
終末のハーレム

 

画面の中のUW日本支部の幹部は、淡々と話し始める。

そして、世界中に衝撃を与える事実を披露するのだった。

 

「この世界で生きられる男性が見つかったのです。・・・ご紹介しましょう。水原怜人さんです」

 

まひるはまさかの展開に、声を失ってしまった。
終末のハーレム

 

 

考察・感想

技術長官の苛立ちも分からなくはないが、あそこまでするのは個人的感情が働いているのは間違いないだろう。

以前漏らしていた「あの人」と比べて、怜人の不甲斐なさに憤ったと思われる。

その時の流れで決まったのがナンバー3の解凍だったが、怜人を敢えて公開することで日本の固有財産であると世界に発信する旨も決まっていた。

そうして皆の怜人になる前に、長官は一発かましてやりたかったのか。

この行為が政府にも怜人本人にも吉と出るか凶と出るかは、しばらく経過を観察する必要がある。

そのうち、外国人が襲いに来るとも限らない。

 

 

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