終末のハーレム2巻10話
【取引】
「ううっ・・・」
まだ頭がクラクラする怜人は、これから何が行われようとしているか理解しながらも、身体が言うことを聞いてくれなかった。
裸の女たちは頬を赤らめて彼に視線を送り、技術長官は満足気に彼を見下ろしていた。
だが、まだ彼が服を着ていることに苛立ち
「まったく・・・ちゃんと脱がせとけよ。お前ら、さっさと剥いて差し上げな」
と女たちに命令する。
女たちは従順な態度で怜人に群がっていき、息を荒げながら緩慢な動きで服を脱がせ始めた。
とにかく、目の前に男がいることに目を爛々と輝かせている。
「や・・・めろ・・・っ」
拘束されていて、さらに身体に力が入らない状態では、拒絶する言葉にも力がなかった。
女たちは嫌がる彼に構わず、乳首にむしゃぶりつき、身体を擦り付けて久しぶりの男を味わっていく。
心は拒絶していても、身体は本能に従って快楽を感じてしまっていた。
思わず
「くっ・・・!」
と声をあげてしまったせいで、
「ちゃんと感じてるんじゃねえか」
と、長官に嬉しそうに笑われてしまう。そして
「そろそろ仕上げと行こうか」
と言うと、金髪の女が彼の股間を見て喉を鳴らし、上に跨ってきた。
しかし長官に蹴り飛ばされた。
まずは彼女たちと同じく、注射を打ってからのようだった。
「さあ・・・これを打てば、いよいよお前は肉バイブ様だ」
「やめろおおおおおおお!!」
その直後、部屋の明かりが一斉に灯った。
そして、いつの間にか翠が長官の腕を掴んでいて
「怜人さまを傷つけることは許しません」
と睨みつけた。それでも長官はふてぶてしい態度を崩さず、
「なんだてめえは?」
と凄んでみせる。
だがそこにUWの幹部もやってきて、さすがに技術長官も計画を諦めたようだった。
美来と朱音もやって来て拘束を解いてくれたおかげで、ようやく自由の身になることができた。
長官は他の幹部に咎められるが、「MKウイルスへの抵抗力を持った男を調べようとしただけさ」と適当に言い訳をして、裸の女たちは自分の助手だと言い訳し、何事もなかったかのように出て行こうとした。
さすがに国務長官の鬼原が「なんでも思い通りになると思うなよ」と説教するが、そんなことでめげるような長官ではなく、最後まで怜人に詫びの一言もなかった。
怜人は、急に嵐がやってきて急に去っていったような顔で見送るしかできずにいた。