終末のハーレム2巻7話
【二人の女性】
UW日本支部。
怜人がMKウイルスの特効薬を作ると言い出したことで、政府上層部は彼の予想できない行動に頭を議論を交わしていた。
国務長官が
「まさかナンバー2があんなことを言い出すとは」
と言えば、技術長官は
「医学生ごときが特効薬を作るだと?ジェンナーか北里の生まれ変わりか何かのつもりかこいつは?」と、憤りを露にする。
それに民生長官は
「その通りよ。余計なことばかりして全然人類のためにならないわ」
と、同意する。
国務長官はあくまで怜人を擁護する発言を続けるが、それを技術長官が否定し、ただ子作りだけしてればいいんだよと、種馬としての扱いを変えようとしない。
それをまた国務長官が宥めながら、
「幸い、今はナンバー1がメイティングに励んでいるから様子を見よう」
と言って話の矛先を逸らす。
それでも技術長官は火野と怜人を比べて、ふにゃチン野郎とこき下ろしながら、
「なんでこいつが生きててあの人が・・・」
と、誰かへの未練を覗かせた。
総務長官が
「そろそろ計画を次のステージに進めましょうよ。本部も彼らの存在に気付くはずよ」
と言い出すと、国務長官が
「そうなると、先手を打たねば我々の管理下には置けなくなるだろうな」
と懸念を示し、それに民生長官が
「そんなのだめに決まってるわ!」
と、声を荒げた。
そして、準備が整い次第、ナンバー3を目覚めさせることが決まった。
怜人は絵理沙が残した資料を元に研究を進めていた。
結晶化が困難で構造解析できていないから、抗ウイルス薬ではなくワクチンの研究に絞って絵理沙は進めていたようだ。
とは言え、あまりに情報が少なすぎて時間が過ぎるだけだったので、一息入れることにした。
ふと横を見れば、研究に付き合ってくれていた翠が、いつの間にか机に頭を乗せて寝息を立てていた。
起こさないよう静かに椅子から立ち、トイレの個室で落ち着いた時間を過ごそうと思った。
するとそこに、朱音が普通の部屋に入るかのように入ってきた。
「あ、朱音さん!なんでここに!?」
「アンタの健康状態を把握するのがアタシの務めだからね。翠だって同じさ・・・姿が見えなくたって、ずっと傍にいる」
そう言いながら、有無を言わせず怜人に跨ってきた。
「こんなことされたら、むしろ健康に悪いですよ!」
と、彼は拒絶しようとするが、追い詰められた状態ではまともに抵抗できず、手を引かれて豊満な胸に導かれた。
右手はスカートの中に滑りこまされ
「この身体、好きにしていいんだよ?」
と、魅惑の言葉で彼の理性を吹き飛ばさせようとする。
それでも掴んでくる手を引き剥がし、一目散に逃げ出した。
だが朱音は断られたショックを見せることなく、彼のガードの高さに賞賛と呆れを合わせたような笑みを零した。