カレンの話は俄かには信じられないのは今も変わらないが、やはりどこにも男がいないのは自分の目で見た真実なので、それは信じるしかなさそうだった。
柚希先生も誰も知っている人さえいなかったが、あのいじめっ子たちが消えてくれたのは助かったと彼は思った。
その時、前の席の女子の背中のブラが透けて見え、慌てて横を向いた。
しかし、今度は隣の席の子と目が合ってしまい、相手が恥ずかしそうにするのでこっちも恥ずかしくて顔が赤くなっていく。
すると、後ろの席になったカレンが声をかけてきた。
「翔~太様!」
「はっはい!?」
「授業の後、ちょっと付き合ってくれませんか?」
言われるまま、授業が終わるとカレンの後について校内を歩き始めた。
その時も女子から注目され続けたが、また感じた疑問をぶつけてみた
「世界がこんな状況なのに、悠長に学校で勉強なんてしてていいんですか?」
それにカレンは、そう訊かれるのが分かっていたかのようにすぐに答えを返した。
「もっちろん!いくらロボットやAIがあるとはいえ、この世を動かすエリートが必要ですからね」
理解できても納得できないような感じでいるうちに、目的の教室に辿り着いた。
そこで待っていたのは柚希先生だった。
土井の姿を見た彼女は駆け出し、彼を思い切り抱きしめた。
「先生・・・土井君はきっと治るって信じてたよ。先生言ったでしょ?土井君は強い子だって・・・」
そこまで言ってくれる先生に彼は
「・・・ありがとうございます」
と、本当に前向きな気持ちの感謝の言葉を返した。
そこで、感動の再会を見守っていたカレンが先生に言葉をかけた。
「じゃあ、翔太様にご褒美あげなきゃね?ゆずせんせっ」
と、その笑顔には拒否を許さないような迫力があった。
そう伝えるとカレンは教室を出ていき、土井と先生の二人きりになった。
束の間の沈黙の後、先生は話し出した。
「今晩・・・時間ある?色々と話したいことがあるの」
真剣な表情で、夜のお誘いをしてくるのだった。
考察・感想
ハーレム学園生活が本格的にスタートした。
一番気になったのは、見開きのシーンで絵理沙と一緒にいたショートカットの女性とよく似た生徒がいたことだ。
単なる偶然なのか、スパイなのかといろいろ考えてしまう。
春歌や奈都が初登場すると共に、柚希先生も再登場してさっそく夜のお誘いだから、彼女たちも待ちに待ったのがよく分かる。
すぐ後で黒田・レイン・ちふゆもメイティング候補として出てくるが、とてもあの小さな子が受胎に適した女性には見えない。
きっと、何か違う理由で潜入なり協力なりをしているのだろう。