怜人の存在を世界に発表できたことで、一つ目の目標を達成したUW日本支部。
今や日本は、世界中の女性が羨む国になったことで、諸外国がおいそれと手出しできない状況にできたことに安心していた。
だが、彼女たちの思惑が全員同じかどうかは、何とも言えないところだった。
現に、技術長官は独断で怜人に強制的にメイティングさせようとしたので、他の者からの信用を回復するのは簡単なことではなかった。
「あのインポ君にタダで研究施設を使わせるのが癪だっただけ」と言い訳するが、それもどこまで本気か疑わしい。
だが、問題児のナンバー2に比べて、ナンバー1の火野に関しては何も言うことがなかった。
担当官の石動は順調に彼にメイティングをさせ続けていて、既に100人近くと子作りに励み、そのうち28人も彼の子供を身篭っていたのだ。
ナンバー1の名に恥じず、火野はUW日本支部の思惑通りに動いてくれていた。
そこでまた、技術長官は火野と比べて怜人への不満を漏らす。
「それに比べてナンバー2の方は全然ダメだな!この女はあのフニャチンのためにわざわざ用意したのに、完全に無駄骨じゃねーか」
と、美来の画像を見ながら口を尖らせる。
しかし、そんな彼女を鬼原は睨みつけた。
それには彼女も、素直に不用意な発言だったと認めるのだった。
話はナンバー3に移り、担当官の神谷花蓮がメイティング環境を新たに構築しようとしているのを聞いた鬼原だったが、彼女なら心配いらないだろうと完全に信頼を寄せていた。
その神谷花蓮は、自室でボディクリームを塗りながら、上司の長官からもうすぐ目覚めるナンバー3について念を押されていた。
「いい?あと数日で開始です。これだけの環境を用意したのだから、任務を果たしなさい」
「もっちろん、任せて下さい」
と、花蓮は上半身裸のままで上司に答える。
「地球一のラッキーボーイの種馬生活!このカレンちゃんが完璧にプロデュースしちゃいます!」
まるで学生の遊びでもするかのようなテンションで彼女は答えるのだった。
感想・考察
今回は久しぶりに絵理沙が再登場した。
顔は見えなったが、ペンダントや髪の感じからも彼女なのは間違いないだろう。
それと、一緒にいたショートカットの女。彼女個人かまたはウイルスの秘密をしる者たちに匿われているに違いない。
美来の態度も絵理沙を知っている風に見れなくはないし、技術長官もやはり怜人のために用意したと言っているから、美来に絵理沙のことを知らせたか、元々知っていたから選ばれたのか、とにかく容姿が似ていることへの答えがありそうだ。
一向に発言しない幹部の一人も気になるが、次からは翔太編が始まる。